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​大石晴子『ランプ/巡り』
2020.4.8配信開始

昨年リリースの1st EP『賛美』が多方面で評価され注目が高まる大石晴子。彼女の最新作となる両A面シングル『ランプ/巡り』が4月8日(水)配信限定で発表。都市の流れを俯瞰し、脈動するシティソウル「ランプ」、静かなサウンドの上に言葉が息づく「巡り」。前作から進化を遂げ、力強くも繊細なボーカルにシンセサイザー、打ち込みによるリズムで新たな大石晴子のソウルミュージックを紡ぎ出している。 変わり行く街、人の暮らし、渦巻く感情、自然現象、それらに翻弄される日々さえも受け入れ、愛おしみ、衛星写真のようにゆらり漂う視点で見守り、寄り添っている。

2020.4.8(水)リリース

大石晴子 両A面シングル『ランプ/巡り』

収録曲
1.ランプ  2.巡り

All songs written by 大石晴子
arranged by 大石晴子バンド

大石晴子 Vocal & Chorus
菊池剛 Keyboards & Synth Bass
武良泰一郎 Drums
宮坂遼太郎 Percussions & Radio
Yuta Fukai Electric Guitar

中村公輔 Recording & Mix
Recorded, Mixed & Mastered at 深海スタジオ

アートワーク素材提供:青いレール.com

​レビュー

昨年のEP『賛美』で私たちの眼前に現れた大石晴子。その歌はじわりと波及していき、ラジオや東京外のライブイベントへの出演も果たした。あどけなさを残しながらいびつなメロディをポップにねじ伏せていく確かな歌声と、感動屋な人となりが滲む歌詞、音楽への真っすぐな愛情と敬意に溢れたこの作品を私は次のように評した。「日常に散らばった、ささやかな幸せを愛でるソウル・チューン」と。

そこから8か月経って届けられた本作。「ランプ」はMoonchildなど現行ネオ・ソウルとの同時代性が感じられる、揺らぐグルーヴとどんどん飛躍していくメロディ、大胆なシンセ・ベースの音色。『賛美』から一歩踏み出したフレッシュなサウンドだ。後半にかけて滑らかにドライブをかけていく音像と、最後に残るラジオのノイズ音は、運転中を演出するかのよう。その後、車から降りてドアを閉めるような音が入ったと思えば、それがビートとなって次曲「巡り」へと繋がる。鮮やかな移行を経て、ピアノ主体の演奏をバックに、大石のルーツである讃美歌を思わせる独唱で丁寧に歌詞をメロディにしていく。演奏のアプローチは違えど、2曲ともに都市の再開発や、昨年の台風19号を始めとする自然災害から着想を得て描かれている。当たり前の日常はないのだと悟りながら、その戸惑いに折り合いなんてつけられないまま。未曾有の感情が滲みつつも気丈に歌う大石の表現には『賛美』からの成長と頼もしさすら感じられる。これは日常が否応なしに未来へずれていくことを受け入れるための歌なのだ。そしてその「ずれ」は、この曲が出来た瞬間よりも今リアルタイムで広がり続けている。たった2か月前の日常が、こんなにも遠く感じるなんて。

 “見つけたり 失くしたり 変わる街で 待ち合わせたいのはあなたで”「ランプ」

 “日々はもつれているから 意味のない遊び繰り返そう”「巡り」

誰も知らない時代を私たちは今生きている。凛とした強さと不安を受け止める度量を持った本作は、聴く人の心に寄り添うランプウェイとなって、向かう先へと確かに繋いでくれるだろう。いずれ必ず来る、変わり終えた街に再び人々が繰り出し始める日。あなたは誰と幸せな待ち合わせをしますか。

峯 大貴

音楽ライター
京都を拠点に活動するミックスカルチャーマガジン「ANTENNA」

私から

メディア

4/7  FM802『MIDNIGHT GARAGE』先行OA
4/8 FM NORTH WAVE『XROSS JAM』コメント
4/8 α-STATION『LIFT』コメント出演
4/10 FM NORTH WAVE『KAT’S in the morning』コメント
4/12 FM NORTH WAVE『BRAND-NEW TUNE』コメント

大石晴子 

大阪生まれ神奈川育ち。生活の機微を、美しくも不思議な響きのメロディで歌うシンガーソングライター。
ソウルミュージックとの邂逅に涙した経験、お笑いラジオ番組のヘヴィーリスニングで体得した鋭利な言語感覚、愛犬家。
個性的且つ芳醇な匂いを醸し出す楽曲群。繊細さと強さ、ポップとブルース、相反するものが揺れ動く歌声は聴く人の胸を打つ、祝福。